こゑくにはらみやまのあや

頁 音　　　　　字 数　　　　　字 1 　こゑくにはらみやまのあや そもそもに　みまこににきね にはりみや　つくはにをさむ としすてに　みすすふちゐそ つらつらと　おぼせばたみの ふゆるほと　たはまさぬゆえ かてたらず　ひらばのおたは みつたえず　たかたはあめの 　こゑくに はらみやまのあや そもそもに　みまこ（御真個）にゝきね にはりみや　つくはにをさむ としすてに　三すゝふち五十 つらつらと　おぼせばたみの ふゆるほと　たはまさぬゆえ かてたらず　ひらばのおたは みつたえず　たかたはあめの 2 ふらぬとし　たねおほろぼす かわかみの　みつおかけひに はこはせと　これもくつれば いせきたけ　つつみきつきて やまみつお　とりてたかたお ひらかんと　いづのかおふね いせにつけ　めくりこえとも おをんかみ　ゆるさすここに ふらぬとし　たねおほろぼす かわ（皮）かみの　みつ（御個）おかけひに はこはせと　これもくつれば いせきたて　つゝみきつきて やまみつお　とりてたかたお ひらかんと　いづのかもふね いせにつけ　めくりこえとも おをんかみ　ゆるさすこゝに 3 かりすまゐ　やまたのたかく みやかわの　かみよりいせき つつみつき　ついにたかのお たとなせば　ゐとせのうちに みつほなる　ほかにそやかの いせきなる　ときにあまてる みことのり　やしまめくれと ふれたまふ　ときふそこすす かりすまゐ　やまたのたかく みやかわの　かみよりいせき つゝみつき　つい（対）にたかのの たとなせば　五とせのうちに みつ（御個）ほなる　ほかに十八かの いせきなる　ときにあまてる みこ（御個）とのり　やしまめくれと ふれたまふ　とき二十九すゝ 4 ゐものひゑ　みそやきさらき ついたちと　むめのはなみの みあえして　ひよみのみやの かとてのり　むかしひよみの おもいがね　こよみつくりて ここにあり　のちむらくもに ゆずりおく　むらくもあけの をんともに　あすかにはへる 五もの一ゑ　三十八きさらき ついたちと　むめ（零芽）のはなみの みあえして　ひよみのみやの かとてのる　むかし（零余子）ひよみ（夜見）の おもいがね　こよみつくりて こゝにあり　のちむらくもに ゆずりおく　むらくもあめの をんともに　あすかにはへる 5 たちからそ　おやのあととて ここにあり　みかりのをとも こふゆえに　むらくもめして みことのり　なんぢむらくも こよみなす　かがみくもれば たまふなは　あめふたゑなり ふたゑけふ　みあえおなせば かといでに　みはたのとめの たちからそ　おやのあとゝて こゝにあり　みかりのをとも こふゆえに　むらくもめして みことのり　なんぢむらくも こよみなす　かがみくもれば たまふなは　あめ二たゑなり 二たゑけふ　みあえおなせば かといでに　みはたのとめの 6 をんふみお　みまこにたまひ みかがみお　こやねにたまひ みつるきお　こもりにたまひ のたまふは　さきにみくさの たからもの　みこおしひとに たまひしは　あにみまこゑて ふとたまと　かくやまはねの おみとなる　こやねものぬし をんふみお　みまこにたまひ みかがみお　こやねにたまひ みつるきお　こもりにたまひ のたまふは　さきにみくさの たからもの　みこおしひとに たまひしは　あにみまこゑて ふとたまと　かくやまはねの おみとなる　こやねものぬし 7 きよひとか　はねのおみなり きみとをみ　こころひとつに かのとりの　かたちはやたみ くびはきみ　かがみはたはね つるきかは　もののへはあし かがみをみ　つきほろふれは たみはなれ　ひつきふまれず つるきをみ　つきほろふれは きよひとか　はねのおみなり きみとをみ　こゝろ一とつに かのとりの　かたちはやたみ くび（宮弥）はきみ　かがみはたはね つるきかは　ものゝへはあし かがみをみ　つきほろふれは たみはなれ　ひつきふまれず つるきをみ　つきほろふれは 8 ものべわれ　よおうばわるる やたをみは　そろはふはるの たみわさお　かんがみるめそ かきをみは　よこまおからし もののへの　ちからもるてそ このゆえに　みくさおわけて さつくいは　なかくひとつに なるよしお　あやにしるして ものべわれ　よおうばわるゝ やたをみは　そろはふはるの たみわさお　かんがみるめそ（素） かきをみは　よこまおからし ものゝへの　ちからもるてそ（手素） このゆえに　みくさおわけて さつくいは　なかく一とつに なるよしお　あやにしるして 9 をてつから　ふみおみまこに さつけます　せおりつひめは みかがみお　もちてかすがに さつけます　はやあきつめは みつるきお　もちてこもりに さつけます　みたびうやまい みなうくるかな しかるのち　みくさたからお をてつから　ふみおみまこに さつけます　せおりつひめは みかがみお　もちてかすがに さつけます　はやあきつめは みつるきお　もちてこもりに さつけます　三たびうやまい みなうくるかな しかるのち　みくさたからお 10 ひつにいれ　しるしはさかき さきかりは　たちからそなり つきかつて　おおものぬしと みぐさひつ　やふそみくるま つきこやね　かこむまやその もののべら　いせよりたちて あすかみや　これよりみつの みしのみや　まつかんさきの ひつにいれ　しるしはさかき さきかりは　たちからそなり つきかつて　おゝものぬしと 三ぐさひつ　やふさみくるま つきこやね　かこむま八十の ものゝべら　いせよりたちて あすかみや（御弥）　これよりみつ（御個）の にしのみや　まつ（真点）かんさきの 11 おおゐほり　まなゐにいたり ぬさおさめ　こゑのねのくに あちはせか　みねこしささく これにめし　しらやまみねお みめくるに　ななめにならず このこしは　たかつくれると のたまえば　ここりめいわく まこかなす　いとうけすてめ おゝゐほり　まなゐにいたり ぬさおさめ　こゑのねのくに あちはせか　みねこしさゝく これにめし　しらやまみねお みめくるに　なゝ（斜）めにならず このこしは　たかつくれると のたまえば　こゝりめいわく まこかなす　いとうけすてめ 12 あかかたに　くろそのつみて うちみこお　ころびつくにの きみとなす　くろそのつめる きみのはは　けわしきみねの こすときに　みねこしつくり こおそだつ　いまここにきて まみえなす　みまこよろこび くにはこし　やまはみねこし あかかたに　くろそ（玄素）のつみて うむみこお　ころびつくにの きみとなす　くろそのつめる きみのはゝ　けわしきみねの こすときに　みねこしつくり こおそだつ　いまこゝにきて まみえなす　みまこよろこび（御真個喜弥） くにはこし　やまはみねこし 13 そのかえに　みちみのももお たまわれば　はなみのももは まれなりと　くにつとになす やよひもち　みあえのむめに きみゑみて　むめのみくさの かといでも　むめにこしゑて このみあえ　あめのしるしと おりかざし　いたるたかしま そのかえに　三千みのもゝお たまわれば　はなみのもゝは まれなりと　くにつとになす やよひもち　みあえのむめに きみゑみて　むめ（零目）にみくさの かといでも　むめにこしゑて このみあえ　あめのしるしと おりかざし　いたるたかしま 14 ささなみの　まくらもよしと おりかざし　くまのよろきの たにせんと　おおたみしまか いがわなす　おとたまかわの しらすなに　ひるねしておる ちたまかみ　みのたけそなた つらかかち　はなたかさなき めはかがみ　とものやすかみ さゝなみの　さくらもよしと おりかざし　くまのよろきの たにせんと　おゝたみしまか いがわなす　おとたまかわの しらすなに　ひるね（留練）しておる ちたま（地球）かみ　みのたけ十七た つらかゝち　はなたかさ七き めはかがち　とものやすかみ 15 おそるれは　みまこうすめに みことのり　なんちめかちに とふへしと　うすめむねあけ もひぼさげ　あざわらいゆく ちたまかみ　さめてかくする なにゆえや　いわくみまこの みゆきさき　かくおるはたそ こたえいふ　かみのみまこの おそるれは　みまこうすめに みことのり　なんちめかち（目価値）に とふへしと　うすめむねあけ もひぼさげ　あざわらいゆく ちたまかみ　さめてかくする なにゆえや　いわくみまこの みゆきさき　かくおるはたそ こたえいふ　かみのみまこの 16 みゆきなす　うかわかりやに みあえして　あいまたなかた さるたひこ　うすめまたとふ いつれから　ゆくやこたえて われゆかん　またとふなんち しるやきみ　いきますとこお こたえいふ　きみはつくしの たかちほぞ　われはいせのさ みゆきなす　うかわかりやに みあえして　あいまたなかた さるたひこ　うすめまたとふ いつれから　ゆくやこたえて われゆかん　またとふなんち しるやきみ　いきますとこお こたえいふ　きみはつくしの たかちほぞ　われはいせのさ 17 なかたかわ　なんちわかなお あらわさば　われもいたさん かえことす　みまこよろこび うのはなも　またかさしゆく さるたして　たけのいわくら おしはなち　いつのちわきの よろいさき　たけやかがみの みおのつち　つむみかみやま なかたかわ　なんちわかなお あらわさば　われもいたさん かえことす　みまこよろこび うのはなも　またかさ（重）しゆく さるたして　たけのいわくら おしはなち　いつのちわきの よろいさき　たけやかがみの みおのつち　つむみかみやま 18 いせきつく　さるたおほめて みおのかみ　このむうすめお たまわりて　そのなあらはす さるへらと　かくらおのこの きみのもとなり みことのり　みおのちわきも たはここに　これかがみなり かりみやお　みつほとなつく いせきつく　さるたおほめて みおのかみ　このむうすめお たまわりて　そのなあらはす さるへらと　かくらおのこの きみのもとなり みことのり　みおのちわきも たはこゝに　これかがみなり かりみやお　みつほとなつく 19 たかにゆき　ぬさおささけて みのにゆき　あまくにたまの よろこびも　むかしかすがに うるりゑて　うむたかひこね ささけもの　おのおのまくわ ひとかこと　やそよろこびて くもぢわけ　しなのすわより みちびけば　はらみやまから たかにゆき　ぬさおさゝけて みのにゆき　あまくにたまの よろこび（喜弥）も　むかしかすがに うるりゑて　うむたかひこね さゝけもの　おのおのまくわ 一とかこと　八十よろこびて くもぢ（雲地）わけ　しなのすわ（日輪）より みちびけば　はらみやまから 20 よもおみて　すそのはひろし みつおうみ　すそのたにせよ たちからそ　やもにほらしむ うみのなも　きはやまなかと きねはあす　ねはかわくちと ねつもとす　つはにしのうみ つさきよひ　さはしびれうみ きさはすと　にはりのたみか よもおみて　すそのはひろし みつおうみ　すそのたにせよ たちからそ　やもにほらしむ うみのなも　きはやまなかと きねはあす　ねはかわくちと ねつもとす　つはにしのうみ つさきよみ　さはしびれうみ きさはすと　にはりのたみか 21 むれきたり　うみほりつちお みねにあげ　やふさはかりと あにこたえ　なかのわもかな うつろゐか　あわうみさらえ みおのわと　ひとにないきて あさのまに　なかみねなせば かみのなも　ゐづあさまみね やまたかく　みつうみふかく むれきたり　うみほりつちお みねにあげ　八ふさ（房）はかりと あにこたえ　なかのわもかな うつろゐか　あわうみさらえ みおのわと　一とにないきて あさのまに　なかみねなせば かみのなも　ゐづあさまみね やまたかく　みつうみふかく 22 ならびなし　みねにふるゆき いけみつの　すえこちさとの たとなりて　およぶみよたに はたとしに　さらえなせとて さかおりの　みやにいります あつかりの　おおやますみか みあえなす　みかしはささく あしつひめ　ひとよめされて ならびなし　みねにふるゆき いけみつの　すえ九千さとの たと（例）なりて　およぶ三よたに はたとしに　さらになせとて さかおりの　みやにいります あつかりの　おゝやますみか みあえなす　みかしはさゝく あしつひめ　一とよめされて 23 ちきりこむ　かえるにはりの ゆきすきの　みやにいのりの おおなめゑ　みくさのうけお あにこたえ　みやにをさむる そのかさり　かぐやはたあり そのあすは　おおんたからに おかましむ　こやねかしまに としこゆる　ものぬしひとり ちきりこむ　かえるにはりの ゆきすきの　みよにいのりの おゝなめゑ　みくさのうけお あにこたえ　みやにをさむる そのかさり　かぐやはたあり そのあすは　おゝんたからに おかましむ　こやねかしまに としこゆる　ものぬしひとり（独り） 24 ひたかみの　いせきなしなし ひすみまて　おおぢよろこび そのちちか　やまとのかみと なりてのち　まこにあいたく としよると　てつからみあえ ものぬしも　よろこびいわく わかきみの　やまおやふさに ゐゆきなす　おおぢおとろき ひたかみの　いせきなしなし ひすみまて　おゝぢ（大地）よろこび そのちゝ（父）か　やまとのかみと なりてのち（後）　まこに（真個荷）あいたく としよると　てつから（点点絡）みあえ ものぬしも　よろこびいわく わかきみの　やまも八ふさ（房）の ゐゆきなす（井雪為す）　おゝぢおとろき 25 われたとひ　あらたなすとも こけしらす　きみはまことの てらすかみ　よよのみおやぞ まめなせと　くにさかいまで おくりてぞ　なこりあるなり ものぬしは　うみべおにしに めくりつつ　さしゑにあらた おこさしむ　さどにわたりて われたとひ　あらたなすとも こけ（苔）しらす　きみ（喜弥）はまこと（真）の てらす（寺日）かみ　よゝのみおやぞ まめなせと　くにさかいまで おくりてぞ　なこりあるなり ものぬしは　うみべおにしに めくりつヽ　さしゑ（挿絵）にあらた おこさむる　さどにわたりて 26 あらたなす　こしにもとりて いせきなすかな ときにきみ　おこすことあり こやねして　にはりにととめ かつてして　うみべおのぼる みゆきふれ　おおやますみは ゐつさきの　かりやにむかえ みあえなす　かしはなすとき あらたなす　こしにもとりて いせきなすかな ときにきみ　おほすことあり こやねして　にはりにとヽめ かつて（割手）して　うみべおのぼる みゆきふれ　おヽやますみは ゐつさきの　かりやにむかえ みあえなす　かしはなすとき（為す時） 27 あしつひめ　いめはらめりと もふすゆえ　いせにつけんと よそひなす　ときにそのはは あねつれて　かりやにいたり まみゑこふ　めせばもふさく いもとさえ　わかいつくしの あねありと　ことばかざれば ふたこころ　あねいわなかお あしつ（質）ひめ　いもはらめりと もふすゆえ　いせにつけんと よそひなす　ときにそのはゝ あねつれて　かりやにいたり まみゑこふ　めせばもふさく いもとさえ　わかいつくしの あねありと　ことばかざれど 二たこゝろ　あねいわなかお（御） 28 めせばその　かたちするとく みめあしく　かれにきもけし みやびかえ　やはりあしつと のたまえば　ちちおとろきて つましかる　かくあれんとて いたさぬお　いそきかえれと おひやれば　ははあねうらみ しもめして　いもとおとさん めせばその　かたちするとく みめあしく　かれにきもけし みやびかえ　やはりあしつと のたまえば　ちゝおとろきて つましかる　かくあらんとて いたさぬお　いそきかえれと おひやれば　はゝあねうらみ しもめして　いもとおとさん 29 あだまくら　ついにいつわり しろこやで　きみにきこゆる うたがひに　たびやおよはに たちいでて　いせにかえます ひめひとり　ねさめてゆけば まつさかに　せきとめられて しろこやに　かえりちかつて ねたまれの　わかはぢすすげ あだまくら　ついにいつわり しろこやで　きみにきこゆる うたがひに　たびやおよはに たちいでゝ　いせにかえます ひめ一とり　ねさめてゆけば まつさかに　せきとめられて しろこやに　かえりちかつて ねたまれの　わかはぢすゝげ 30 このさくら　むかしひおおぢ さくらうち　このはなささく おをんかみ　おうちにうえて いせのみち　なるはなるるお はかりなす　さくらいあらば わかはらみ　あだたねならば なはしほめ　まさたねならば うむときに　さけとちかひて このさくら　むかしひおゝぢ さくらうち　このはなさゝく おをんかみ　おうちにうえて いせのみち　なるはなるゝお はかりなす　さくらいあらば わかはらみ　あだゝねならば はなしほめ　まさたねならば うむときに　さけとちかひて 31 ここにうゑ　さとにかえます そふみちて　みなつきはつひ みつこうむ　そのゑなのあや むめさくら　うはなとかわり あやしめは　きみにつぐれど かえなくて　ひめはすそのに うつむしろ　めくりにしはの かきなして　ははこちかひて こゝにうゑ　さとにかえます そふみちて　みなつきはつひ 三つこうむ　そのゑなのあや むめさくら　うはなとかわり あやしめは　きみにつぐれど かえなくて　ひめはすそのに うつむしろ　めくりにしはの かきなして　はゝこちかひて 32 なかにあり　あだたねならば ほろびんと　ひおつけやけば あつがりて　はひいでんとす みねのたつ　みづはきかけて ひとりづつ　みちびきみこお はひいます　もろとおどろき ひおけして　ひめひきいたし みこしもて　みやにおくりて なかにあり　あだたねならば ほろびんと　ひおつけやけば あつがりて　はひいでんとす みねのたつ　みづはきかけて 一とりづゝ　みちびきみこお はひいます　もろとおどろき ひおけして　ひめひきいたし みこしもて　みやにおくりて 33 いせにつぐ　しろこのさくら うまれひに　さきてたえねば あめみまこ　かもふねはやく とはさせて　おきつにつけば きぢとびて　さかおりにつく ひめうらみ　ふすまかふりて こたえなし　かえことすれば きみしばし　おもひてわかの いせにつぐ　しろこのさくら うまれひに　さきてたえねば あめみまこ　かもふねはやく とはさせて　おきつにつけば きぢとびて　さかおりにつく ひめうらみ　ふすまかふりて こたえなし　かえことすれば きみしばし　おもひてわかの 34 うたみそめ　おきひこおして さおしかど　ひめいたたきて おきつもは　へにはよれとも さねとこも　あたわゆかもよ はまつちとりよ このうたに　うらみのなんた とけおちて　きみにこたえの かちはたし　すそのはしりて うたみそめ　おきひこおして さおしかど　ひめいたゝきて おきつもは　へにはよれとも さねとこも　あたわぬかもよ はまつちとりよ このうたに　うらみのなんた とけおちて　きみにこたえの かちはたし　すそのはしりて 35 おきつはま　きみよろこびて こしならへ　ゆくおおみやは やますみの　みちむかえして みところに　すわかみあえは すはしりて　さかおりみやに いりまして　もろかみきけよ われさきに　はなおかざして かけとほる　これゑなのあや おきつはま　きみよろこびて こしならへ　ゆくおゝみやは やますみの　みちむかえして みところに　すわ（日輪）かみあえは すはし（素端）りて　さかのりみやに いりまして　もろかみきけよ われさきに　はなおかざして かけとほる　これゑなのあや 36 いまななす　はつにてるなは ほのあかり　いみなむめひと つきのこは　なもほのすすみ さくらきぞ　すえはなもひこ ほおてみの　いみなうつきね またひめは　こおうむひより はなたえす　ゆえにこのはな さくやひめ　みやつくりして いまなゝす　はつにてるなは ほのあかり　いみなむめひと つきのこは　なもほのすゝみ さくらきぞ　すえはなもひこ ほおてみの　いみなうつきね またひめは　こおうむひより はなたえす　ゆえにこのはな さくやひめ　みやつくりして 37 おわします　なつめのかみか うぶきなす　ははのちおもて ひたします　こやすのかみぞ ひとなりに　さくらきかにの くさなせは　すせりくさにて かにはきて　くさかれいゆる なもすせり　かれしらひげの すせりもて　たみよみかえる おわします　なつめのかみか うぶきなす　はゝのちおもて（母の地表） ひたします　こやすのかみぞ ひとなりに　さくらきかにの くさなせは　すせりくさにて かにはきて　くさかれいゆる なもすせり　かれしらひげの すせりもて　たみよみかえる 8 まもりとて　はたきてうくる みやゐこれかな そののちに　きみこのやまに のほりみて　なかこやすめり やつみねに　ゐゆきたえねは よよのなも　とよゐゆきやま このしろの　たつのたつたの かみのこと　このしろいけの まもりとて　はた（端）きてうくる みやゐこれかな そのゝちに　きみこのやまに のほりみて　なかこやすめり やつみねに　ゐゆきたえねは よゝのなも　とよゐゆきやま このしろの　たつのたつたの かみのこと　このしろいけの 39 みやこより　らはななくれば たはむれる　とりたすきとて はにいます　こもりゑになす ちよみくさ　みはもにしみて さまうつす　ままにまつりお きこしめす　このあきみづほ ちからなす　かれやまはとの みはとなす　あやにはおとめ みやこより　らはななくれば たはむれる　とりたすきとて はにいます　こもりゑになす ちよみくさ　みはもにしみて さまうつす　まゝにまつりお きこしめす　このあきみづほ ちからなす　かれやまはとの みはとなす　あやにはおとめ 40 おるにしき　おおなめまつる みははこれ　はおなおはめは ちよおうる　わかなもおなし にかけれど　はおなはももの ましにかく　ちよおのふれど たみくわず　ねはひとのなり ははよめな　はなやゑかおよ らははぐは　もぐさかぶろば おるにしき　おゝなめまつる みははこれ　はおなおはめは 千よおうる　わかなもおなし（同士） にか（荷和）けれど　はおなはもゝの（桃の） ましにかく　ちよおのふれど たみくわず　ねはひとのなり ははよめな（葉は嫁菜）　はなやゑかおよ らははぐは　もぐさかぶろば 41 ちおまして　おいもわかやぐ わかむすび　このこおくわに いとなせば　ここりひめゑて みはささぐ　こゑねのくにぞ ものぬしは　きたよりめくり こゑにきて　かのゑおすすむ ここりひめ　あやにおりなす とりだすき　あめにささけて ちおまして　おいもわかやぐ わかむすび　このこおくわに いとなせば　ここりひめゑて みはさゝぐ　こゑねのくにぞ ものぬしは　きたよりめくり こゑにきて　かのゑおすゝむ ここりひめ　あやにおりなす とりだすき　あめにさゝけて 42 またにしの　ははかみやけと よにのこる　たがにいたれは つゑかつま　あさひめむかふ ものぬしは　くわよきおみて あさひめに　こかひきぬおる たちぬひの　みちをしゆれは をこたまの　かみおまつりて ゐくらたし　みはさしつくり またにしの　はゝかみやけと よにのこる　たがにいたれは つゑかつま　あさひめむかふ ものぬしは　くわよきおみて あさひめに　こかひきぬおる たちぬひの　みちをしゆれは をこたまの　かみおまつりて 五くらたし　みはさしつくり 43 たちぬひの　みちをしゆれば やもとほり　こゑくにのかみ おこのさと　こかひゑるなり あめみまこ　またやまめくり ねにひゑて　はらいたむとき こもりその　みくさすすめて これおたす　みとはまじわる ひとみくさ　ねはこねうすき たちぬひの　みちをしゆれば やもとほり　こゑくにのかみ おこのさと　こえひゑるなり あめみまこ（御真個）　またやまめくり ねにひゑて　はらいたむとき こもりその　みくさすゝみて これおたす（御助）　みとはまじわる ひとみくさ　ねはこねうすき 44 くきひとり　よゑゐはひとみ こしろはな　あきみはあづき あまにかく　よこしうるほひ むねおたす　ももくさあれど はらみのみ　ことまさるゆえ みくさほめ　はらみやまなり ふたかみの　くになかはしら おきのつぼ　あまてるかみの くき一とり　四ゑ五はひとみ こしろはな　あきみはあづき あまにかく　よこしうるほひ むねおたす　もゝくさあれど はらみの三　ことなさるゆえ 三くさほめ　はらみやまなり 二たかみの　くになかはしら おきのつぼ　あまてるかみの 45 ひたかみの　かたたけみやの なかはしら　けたつほのふみ ゐつかみの　はらみはつぼは よもやもの　なかはしらなり おをんかみ　はらのおきみと なおたまふ　にはりのたみか ことしたふ　ふりもわかれて もとたみと　みつきはわかれ ひたかみと　かたゝけみやの なかはしら　けたつほのふみ ゐつかみの　はらみはつぼは よも八もの　なかはしらなり おをんかみ　はらのおきみと なおたまふ　にはりのたみか ことしたふ　ふりもわかれて もとたみと　みつきはわかれ 46 しはかみの　みはしらのまま なることく　まつりほつまに ととのひて　ふよろやちへて みそすすの　こよみなすころ くにのなも　しはかみほづま あまねくに　うつりたのしむ よよゆたか　やよろとしへて ひたかみの　きみよりめせば しはかみの　みはしらのまゝ なることく　まつりほつまに とゝのひて　ふよろ八千へて みそすゝの　こよみなすころ くにのなも　しはかみほづま あまねくに　うつりたのしむ よゝゆたか　八よろとしへて ひたかみの　きみよりめせば 47 もろともに　みやにのほれは ちちみかと　みこふたかたに みことのり　われよわいおい ひたるゆえ　いまよりあにも なはやまと　あすかおきみと はらおきみ　ともにむつみて ゑとかみの　そのひそのたみ もるごとく　ゑとしかときけ もろともに　みやにのほれは ちゝみかと　みこふたかたに みことのり　われよわいおい（我齢老い） ひたるゆえ　いまよりあにも なはやまと　あすかおきみと はらおきみ　ともにむつみて ゑとかみの　そのひそのたみ もるごとく　ゑとしかときけ 48 くにたみお　わかものにせな きみはその　たみのきみなり たははこね　ふたゑめくみぞ かにめでる　きみはがもなし ふたもなし　かみのかがみの あまてらす　ひつきのきみと まもるはこねぞ ついにほる　ゐづおはしらの くにたみお　わかものにせな きみはその　たみのきみなり たははこね　ふたゑめくりぞ かにめでる　きみはがもなし ふたもなし　かみのかがみの あまてらす　ひつきのきみと まもるはこねぞ ついにほる　ゐづおはしらの 49 ほらあなに　みつからいりて はこねかみ　まつりてのちに はらおきみ　のこしことより ふたたみの　あらそいあれは とみやりて　やわしさはきて なにことも　おたみおたてて にいたみの　かけははらより つくなわす　かれによのうち ほらあなに　みつからいりて はこねかみ　まつりてのちに はらおきみ　のこしことより ふたゝみの　あらそいあれは とみやりて　やわしさはきて なにことも　おたみおたてゝ にいたみ（新民）の　かけははらより つくなわす　これによのうち 50 むつましき　ゑとおなつけて はらからと　いふもとおりそ はらおきみ　いつさきみやに はこねかみ　みとせまつりて おきつぼの　みねよりなかめ みことのり　なんぢやまくい やまうしろ　のおほりつちお ここにあげ　おおひのやまお むつましき　ゑとおなつけて はらからと　いふもとおりそ はらおきみ　いつさきみやに はこねかみ　みとせまつりて おきつぼの　みねよりなかめ みことのり　なんぢやまくい やまうしろ　のおほりつちお こゝにあげ　おゝひのやまお 51 うつすべし　ひとゑたにたり ひゑのやま　そのいけみつか たのそろに　のりてみのれは みそろいけ　ままありいけの にしいわや　みはむゐしなお いつわけて　なかすいしかわ せきいれて　あれわおいけて なるかみお　わけてしつむる うつすべし　一とゑたにたり ひゑのやま　そのいけみつか たのそろに　のりてみのれは みそろいけ　まゝありいけの にしいわや　みはむゐしなお いつわけて　なかすいしかわ せきいれて　あれわおいけて なるかみお　わけてしつむる 52 かぐつちと　みつはめおうむ あおひはと　かつらにいせの みことのり　あめはふりてり まつたきは　いかつちわけて かみおうむ　これとこたちの さらのゐづ　わけいかつちの あまきみと　をしてたまわる いろさわお　おおたにほらせ かぐつちと　みつはめおうむ あおひはと　かつらにいせの みことのり　あめはふりてり まつたきは　いかつち（怒地）わけて かみおうむ　これとこたちの さらのゐづ　わけいかつちの あまきみと　をしてたまわる ひろさわお　おゝたにほらせ 53 くにとなす　あまねくとふる ほつまぶり　たのしみうたふ つかひには　ぬまほりあけて たみつうむ　あそへのおかの ゐゆきやま　なよさとうみて かつしまや　かつみねやまと しまあひに　かつうおなれは このうおお　あらたにいれて くにとなす　あまねくとふる ほつまぶり　たのしみうたふ つかひには　ぬまほりあけて たみつうむ　あそへのおかの ゐゆきやま　なよさとうみて かつしまや　かつみねやまと しまあひに　かつうおなれは このうおゝ　あらたにいれて 54 わおこやす　あまのこやねも かすがくに　とぶひのおかに やまとかわ　ほりてつくれる みかさやま　ゐよのいふきは あめやまに　うつしたおなす あすかきみ　かくやまうつし みやのなも　はせかわほりて あすかかわ　ふちおたとなす わおこやす　あまのこやねも かすがくに　とぶひのおかに やまとかわ　ほりてつくれる みかさやま　ゐよのいふきは あめやまに　うつしたおなす あすかきみ　かくやまうつし みやのなも　はせかわほりて あすかゝわ　ふちおたとなす 55 すかたひめ　きみにもふさく これわろし　むかしくしひこ いさめしも　あざけるけがれ みそきなす　これおすつれは またけがれ　なにかみありと いわむれは　かぐやまおきに これきかず　おうなのまつり いつこある　なんちはこのた すかたひめ　きみにもふさく これわろし　むかしくしひこ いさめしも　あざけるけがれ みそきなす　これおすつれは またけがれ　なもきみありと いさむれは　かぐやまおきみ これきかず　おうなのまつり いつこある　なんちはこのた 56 このおえず　つまにならぬと けふさりて　とよまとかめの はつせひめ　つまとめさるる あすかかは　おおやますみは これうつし　さかむのおのに あらたなし　かぐのきうえて まうらかみ　よよたちはなの きみとなる　きみさかおりの このおえず　つまにならぬと けふさりて　とよまとかめの はつせひめ　つまとめさるゝ あすかゝは　おゝやますみは これうつし　さかむのおのに あらたなし　かぐのきうえて まうらかみ　よゝたちはなの きみとなる　きみさかおりの 57 つくるなも　はらあさまみや よこおひは　こかねおかざり たまうてな　うるしいろとり かけはしの　すへればゆうの たびつけて　かけはししたふ たびすかた　なおゆたかにて そよおとし　みづほのぼりは たみやすく　にわにすむつる つくるなも　はらあさまみや よこおひは　こかねおかざり たまうけな　うるしいろとり かけはしの　すへればゆうの たびつけて　かけはししたふ たびすかた　なおゆたかにて 十よろとし　みづほのぼれは たみやすく　にわにすむつる 58 ちよみくさ　そそきねおはむ いけのかめ　はおはむよろの うらかたは　あふとはなると かめうらは　みつわくわかぬ みこころお　つくすみまこの ほつまなるかな ちよみくさ　そそきねおはむ いけのかめ　はおはむよろの うらかたは　あふとはなると かめうらは　みつわくわかぬ みこゝろお　つくすみまこの ほつまなるかな